WaterBox 〜クラウンローチと魚たち〜

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   猫でもわかるお水のお話A

 猫でもわかるお水のお話Aということで、前回の猫でもわかるお水のお話では書かなかったこと、もしくは書き忘れたこと(こちらの意味合いが強かったりしますが…)を補足するという意味で、また水のことを少し書いてみようと思います。今回もコンセプトは同じでして、初心者の方が、水のことを勉強するのに役に立つようなごく基礎的な情報のご紹介ということです。いつものごとく猫丸はその程度しかわかっていないので、これを読んだら猫丸と同程度にはなれますよっていう、ありがたいのかありがたくないのか複雑なお話をしてみようと思います。と言うことなので、例のごとく厳密に言い回しが正しいかどうかとか、最新の飼育理論とか、そういうことはさておきまして、どこかの飼育指南の掲示板でお話しするときに困らずにすむようになっていただけたらいいなぁ、なんてお話を書いてみたいと思います。

 ※おことわり:以下の解説の中には厳密に言うと化学的に定義や理論が不適切と思われる記述があります。ですが、今回、初心者の方向け、そして他の方とのスムーズな情報交換のための水の解説ということで、実用面から見て”アクアリウムの世界での常識”に重点を置いています。ですのでこの解説をそのまま一般の化学に用いると誤解を生ずるおそれがありますので、ご注意ください。

■今回のお話は?
 前回のお話で解説したことはとりあえず、今回は触れないことにします。ですので、水の基本的なことが怪しい方は、前回の記事を読み直してみてください。その上で、今回取りあげる水のことを少し説明したいと思います。
 今回は特に水質(水にどんな物質が溶けているのか)ということでお話を進めていこうと思います。で、何を解説するのかといいますと、まずは前回すっかり忘れていました水道水中のカルキ(塩素)のお話。次に、これもすっかり忘れていました、塩水のお話。さらに一番大きな忘れ物の、酸素二酸化炭素のお話。
 全部忘れ物を取りにきただけだと恥ずかしいので、溶けていない例も挙げてみましょうということで参考程度にRO水のことで締められたら良いかなと思っています。

■塩素って?
 まずは水道水の中に含まれるカルキ(塩素)のお話です。
 もともと水道というのは、人間が水を便利に使いたいがために一生懸命作ったわけでして、そのシステム自体が人間が使うことを基準に設計、運用されているのです。と、いうことは、そこから出てくる水も、大抵の人間にとって少なくとも害はなく、さらにコストがなるべく安くすむように考えてあるわけです。そんな中で、この塩素というのは手っ取り早く水中の雑菌を消毒してくれるという理由で、水道水に添加されていたりするわけです。つまるところ、塩素は雑菌(生き物)を殺すためのなわけです。でもなんでそんな水をずっと飲んでいても人間が死なないのかと言いますと、これは濃度の問題になっていきます。つまり、水道水には、雑菌は死ぬけど、人間が死なない濃度の塩素が添加されているわけです。その濃度は、お近くの水道局が法律で定められた基準に従ってそれぞれ決めている。ということになります。
 毒に対する抵抗力は基本的に体重が重いほど高いと言われています。小さい頃、やりませんでしたか?アリの行列に殺虫剤を吹き付けてみたり…。一吹きでアリは死んでいまいますが、私は顔に一吹きかけたくらいでは死ななかったです(あ、そこのあなた、真似しないでくださいね)。塩素にも同じ事が言えまして、おおざっぱに書きますと、

猫丸の考える重量配分(塩素への抵抗力)

雑菌<<<<魚<<人間

と言う感じになるかと思うのです。そして、上でも書きましたが、水道水には、雑菌は死ぬけど、人間が死なない濃度に塩素が入れられています。でも、雑菌も魚も死んで人間だけが生き残る濃度なのか、雑菌だけが死んで魚と人間が生き残る濃度なのかはちょっとわからないところです。ですので、魚に死んでもらっては困るアクアリストとしては、魚にも害のない程度まで塩素が無くなっていただかないと怖くて水槽に水を入れられないという事になりますよね。さらに、猫でもわかる濾過のお話のところで解説しましたが、水槽は濾過バクテリアの働きで平和を保っています。その濾過バクテリアは、明らかに魚よりも小さいわけでして、そうなるとおそらく塩素にも滅法弱いわけでして…。ということから、水道水を水槽に入れる時には、事前にカルキ(塩素)抜きをするというのがアクアの世界ではほとんど常識的に行われています。

●どうやってカルキ(塩素)を抜きますか?
 人間には有益ですけど、水槽には大敵の塩素ですが、これは意外と根性がないので結構すぐに抜けちゃったりします。例えば、ばっ気(水をバチャバチャと波打たせる)すると、それだけでどんどん抜けていったりしますし、日光に当てるとか、バケツに入れてただ置いておいても徐々に抜けてゆきます。水をためておいて、ずっとエアレーションしておけば、しばらくすると塩素を飛ばすことができます。また、浄水器などでも取り除けます。
 ですが、この、どんどんとか、徐々にとか、しばらくとか、いい加減な表現で逃げてますが、これがちょっぴりくせ者なんです。上にも書きましたが、水道水の塩素は雑菌は死ぬけど、人間が死なない濃度なわけですから、雑菌がいっぱい繁殖しそうな時期には、水道局も塩素をいっぱい入れたりして対応するんです。つまり、塩素の濃度はそのときによって変わりますから、どんどん抜けていこうとも、徐々に無くなろうとも、しばらくたとうとも、抜けないときには抜けないんです。ですので、塩素が抜けたかどうかを確認してから使うのが理想的です。
 その方法としては、アクアリウム用品で、塩素チェックをする試薬が売られていますし、一般用に塩素濃度をデジタル表示してくれる器具も売られています。ですので、それらを使って確認してから水槽に水を入れるのが一番安全です。
 ですが、お金もかかりますし、水換えのたびにいちいちそんなことをしていられないというのが本音のところです。ですから、カルキ抜きを簡単にしてくれるアクアリウム用の薬も売っております。ハイポやテトラコントラコロラインなどの塩素中和剤(カルキ抜き)が有名です。これを使うと、くんできた水に一定量を投入するだけで手軽にカルキ抜きが出来ます。もちろん、上で書いたように、エアレーションや日光浴をさせても良いですが、そのときには十分にカルキが抜けるような時間をあらかじめ計った上でやってくださいね。ちなみに補助的な工夫として、バケツに水をくむときに高い位置から落とすとか、わざとバチャバチャと波立たせるなどすると、結構効果があるようです。
 たまにいらっしゃるのが水道水を直接水槽に投入される方ですが、そのようなことをしても大丈夫な塩素濃度の地域もあるようです。ですが、それが全ての方に当てはまるものではありませんので、その情報を鵜呑みにするのは危険だと思います。

●塩素のこと、もうちょっと
 先ほどから解説しているこの塩素の濃度ですが、基本的にはppmで表されることが多いようです。
 ちなみに私の住んでいる街の水道局の場合ですが、法律で最低限の塩素(残留塩素)の濃度は決まっていまして、0.1ppm以上は必ず無ければいけないそうです。そして、水道局がおっしゃるには0.3ppm程度にしているとのこと。快適な水質項目の目標値と言うのがあるそうで、それですと、1ppm以下であれば、人間には快適であるということらしいです。でも、魚やバクテリアにとってどの程度の濃度なら大丈夫か?というのはなかなかわからないですから、完全に除去してしまいたいところです。ということで、上記のような方法を使って、塩素は確実に抜いてから水槽に投入しましょう。

 もう一つ話題が。細かいことなのですが、水道水を水槽に入れてから水槽にカルキ抜きを入れる方がいらっしゃいます。数秒のことなので、あまり細かく言わなくても良いのかなとは思いますが、水道の蛇口から直接入れるのでない限り、バケツなどに貯めている時点でカルキ抜きを入れてあげたほうが良いと思います。水槽には魚以外にもバクテリアが大切な働きをしてくれていることを考えますと、その方が安心できると思います。

 塩素についてわかっていただけましたでしょうか?特に難しいお話ではないと思います。とにかく、水道水の塩素は、しっかりと抜いてから水槽で使いましょうということがわかっていただければそれでokです。

■塩水って?
 塩水ってなんでしょう?普通に考えると、塩が溶けている水です。本当にその通りなんですけど、塩が水に溶けることと、魚の生きていることというのはとても深いつながりがあるんです。そのあたりのことを少し説明しつつ、病気治療の時の塩水のお話などと絡めてみたいと思います。
 とりあえず、このサイトにいらっしゃるくらいですから、読まれている方は淡水魚を飼育しているか、飼育しようとしているのだと思います。ということで、淡水側から見た塩水のお話をしてみたいと思います。
 そもそも、淡水って何でしょう?って思って調べてみたのですが、塩分濃度のきわめて低い水というふうに書いてあることが多いです。つまり淡水魚というのは、塩分濃度がきわめて低いところに生息している魚という事になります。もう少し詳しく説明しますと、1リットル中の塩類が500mg以下の水を淡水と言うようですから、そういうところに住んでいる(というか、住まざるを得ない)魚を淡水魚というのだそうです。ちなみに、淡水の反対語は鹹水(かんすい)です。今回調べて初めて知りました。海水じゃないとのことなので、気をつけてくださいね。もう一つ、ちなみに。ここだけ塩類と言っていますが、塩を含め、水には、水を濃くするもの(主にミネラル分)が溶けているわけでして、そういうものをひっくるめて塩類と言っています。でも、今回は塩のお話なのでその説明は省略しました。というか、それを説明しはじめると、ミネラル分とは何だ?とか、その絡みで魚の血液がどうのこうのと、難しいお話になってきて、趣旨にはずれますので、詳しく知りたい方は調べてくださいね。
 さて、そんな淡水魚ですが、そもそもどうして淡水魚は淡水に住むようになっているのでしょうか?そのあたりを掘り下げてみたいと思います。まず、用語を一つ。浸透圧というお話です。ちょっと難しい用語がでてきましたね。でもあまり気にせずに次に進みましょう。

 話が少し飛びます。
 料理をされる方はおわかりかと思いますが、キャベツなんかに塩を振りかけておきますと、キャベツがしおれて、水が出てきます。お菓子作られる方なんかはご存じかと思いますが、アップルパイのリンゴを煮る時に、剥いたリンゴに砂糖を山ほどかけて放置しておきます。すると、リンゴの中から水分が出てきまして、リンゴがしおれて、砂糖がべっとりと濡れて蜜のような状態になりますよね。こういう現象を浸透(水分が塩や砂糖の方に移る)とか、脱水(元あったところから水分が抜かれる)と言います。要するに青菜に塩とか、ナメクジに塩の状態のことでして、イメージとしてはなんとくわかっていただけるかと思います。
 これをもう少し詳しく言いますと…。この現象は、塩分などの濃度が薄いエリアから、濃いエリアへと水分が流れてゆく性質によって引き起こされています。キャベツに塩をかけますと、キャベツの中よりもキャベツの外の方が塩分が濃いわけです。ですから、そっちの方が良いなぁと言うことで水が移って行きます。それで、キャベツがしおれ(水分が奪われる)て、外に水分が出ることになります。でも、考えてみてください。ガラスのコップに水を入れて、塩の中に埋めると、コップの中よりも外の方が塩分濃度が濃いですよね。この理屈で言いますと、コップから水がしみ出さないといけないわけですが、そうはならないんです。その理由は、キャベツとガラスの違いにあります。キャベツが水分を閉じこめているのは、半透膜と言われる膜です。これはそれなりに水を通してくれるんですけど、ガラスのコップはどう頑張っても水を通すことはありません。ですので、水が濃度の薄い方から濃い方に移動するのは、間に半透膜がある場合という条件が付きます。そして、人間や魚を構成している細胞の回りを囲っている細胞膜がこの半透膜の性質を持っています。もちろんキャベツも。ですので、浸透や脱水といった現象が起こるんです。ちなみに、この浸透する圧力(水が移動する力)を浸透圧と呼びます。
 
 そろそろ魚の話に戻りましょう。魚は水中にいます。そして、魚の細胞も細胞膜(半透膜)で覆われています。と言うことは、魚の回りの水が濃いか薄いかによって、魚の体内の水がどうなるかが決まってしまうわけです。普通、魚の体液の濃度は、淡水の濃度よりも濃くなっています。つまり、淡水魚は、何もしなくても、主にエラから回りの水をどんどん体内に吸収し続けてている事になります。ですので、入ってくるものは出さないとダメなので、どんどん尿をします。逆に海水魚は回りにある海水の方が濃度が濃いので、放っておくと体の中の水がどんどん出ていってしまいます。ですから、なるべく出さないように、少ししか尿を出しません。このように、魚は住んでいる場所の塩分濃度によって、全く違うからだの仕組みを持っている事がわかります。このような事情があるので、魚は決まった塩分(などの)濃度で飼う必要があるんです。
 ちなみに、この塩分濃度は比重計で計ることが出来ます。海水魚を飼うときには必須のアイテムのようです。
 これで、淡水魚と塩のお話はおわかりいただけたかと思いますが、いかがでしょうか?これらのことを踏まえて少し余談がありまして…。

●余談@
 上のような事情なので魚ごとに適正な塩分濃度が決まっているのはわかるのですが、病気治療で魚の塩水浴をしますね。それはどう考えればいいのでしょうか?
 魚はある決まった濃度の中で生きていて、その浸透圧を受け止める力があるのですが、それも実は少し幅がありまして、浸透圧(塩分濃度)が結構違っても生きていられるんです。さすが高等生物です。ですが、病原菌や原虫などは、浸透圧が少し変わると、もうダメな場合が多く、塩水浴すると、浸透圧の変化に追従できなくなって死んでしまいます。塩水浴は、魚が耐えられる範囲で、なおかつ病原菌が耐えられない範囲の浸透圧の水に入れることで、病原菌のみを殺すことを目的としています。それに加えて、塩自体の持つ殺菌能力もあります。塩には微生物の繁殖や酵素作用の抑制機能がありまして、病原菌なんかが増えるのを防ぐことが出来るようです。
 この効果で病気を治そう!というのが塩水浴ということです。

●余談A
 海水で淡水魚は飼えるのか?という疑問があります。上のお話を読むと、身体の構造がそもそも、尿をいっぱい出すとか、出さないとか、正反対なので無理でしょうという感じに思えるかも知れませんが、さすがは生物。万歳です。生物には適応能力がありまして、ゆっくり順応すれば、かなりの環境変化に追従することが出来ます。そして、淡水魚にも海水で生活できる魚は居たりします。モーリーなどの卵胎生メダカの仲間はゆっくりと慣らしてゆくと海水魚と混泳出来るようになる場合があるそうです。珊瑚礁の中を泳ぐモーリー…。ちょっと違和感ありますが、海水中でも苔を食べてくれるそうですよ。

■酸素って?
 今更説明するのもなんとなく気が引ける感じですが、酸素のお話です。酸素は人間はもちろんですが、熱帯魚の生命維持にも必要な物質です。人間は酸素を肺で呼吸しますが、魚はエラに水を通すことで呼吸します(例外も居ますが…)。といっても、水中は空気中よりも酸素の溶けている割合がすごく少ないので、魚は一生懸命呼吸を頑張っているのでしょうね。この酸素、水中に溶けている量を溶存酸素量DO)と言ったりしますが、これは用語なので、覚えられれば覚えてください。
 この酸素ですが、水中ではいろいろな要素で水中の酸素量が変わってきます。基本的に4種類、水温気圧塩分濃度需要量と供給量です。前の3つが、水にとけ込める酸素量の限界を決めます。最後の一つが水に実際にとけ込む酸素量を決めます。前の3つは水の状態を示しています。ですから、ある状態の水に溶け込める酸素の量には限界があるということをまずは覚えておいてください。その上で、いろいろな方法で酸素が水に補給されたり、使われたり、どこかへ逃げてしまったりするわけです。それが最後の項目です。ちょっと難しいので一つずつ説明しますね。

●水温
 おおざっぱに言いますと0度の水に10の酸素がとけ込めるとすると、30度の水には5の酸素しかとけ込めません。つまり他の条件が同じで水温だけが違う水であれば、水温が低い方に酸素が多くとけ込むことが出来るということがわかっています。

●気圧
 水槽にかかっている気圧が高いほど酸素はたくさんとけ込むことが出来ます。つまり、海抜0メートルのところよりも、エベレストの山頂では、酸素がとけ込みにくくなるということです。が、これは、日本ではあまり関係ないのでは?と思います。そんなに空気の薄いところで熱帯魚を飼っている方がたくさんいらっしゃるとは思えませんので。そういうところの方は、別途お調べくださいね。

●塩分濃度
 塩分濃度が高いほど、酸素はとけ込みにくくなります。海水の方が淡水よりも酸素がとけ込んでいません。病気の治療などで塩水浴をするときに、エアレーションをしましょうというのはこのためです。他にも塩分が含まれている薬(メチレンブルーなど)があります。治療中に酸欠で死なせるなんて悲しいことはしたくないですので、しっかりとエアレーションはしましょう。

●需要量と供給量
 上記3つの状況によって水が抱え込める酸素の量が決まりますので、そこにどれだけの酸素を入れておくかという事を決めます。実際の酸素の量を決めるのはこちらです。
 酸素の需要ということですと、水槽中の全ての生物です。魚、水草、小さな虫、バクテリア等々が酸素をどんどん消費しますので、それが多い水槽ほど酸素の需要は大きくなります。供給ですが、こちらは基本的に2種類です。一つは、外から供給される酸素。もう一つは水槽内で生産される酸素です。外から供給される酸素の代表的なのが、ぶくぶくのエアレーションです。その他にもばっ気(水面を泡立たせること)で酸素は供給されますし、放って置いても自然に水面からも酸素はとけ込みます。上部濾過器の落水とか、シャワーパイプとか、手で水面をバチバチ叩いても酸素は供給できます。また、熱帯魚屋さんにあるような酸素ボンベで供給しても構いません(あまりやる方は見かけませんが…)。次に水槽内で生産される酸素ですが、これは主に植物です。水槽ですと水草や苔などですが、それらは光があると光合成をして二酸化炭素を酸素に変えてくれますので、そこからも酸素が供給されるということになります。

 ということで、水中の酸素の量は、水の状態による上限の元に、需要と供給のバランスによって決まっていることがわかります。
 実際問題、水槽ではどうなのかといいますと、上の要素では、気圧は変えることは難しいので置いておきまして、なるべく水温と塩分濃度を低めにすることで、水中に酸素をたくさん取り込むことが出来ます。また、淡水領域で30度の水温、60センチ水槽程度に多少過密気味に熱帯魚を飼ったとしても、普通のエアポンプでぶくぶくやっていれば、酸欠になることはまず無いと思います。ただ、水草水槽などで二酸化炭素を逃がさないために、エアレーションをしない状態で水温が高くなったりすると、酸欠の心配が出てきたりするので、そのような場合には注意が必要です。
 魚の場合、水中の酸素の濃度は最低5ppmは確保しておきたいところなのだそうです。そして、水槽を維持するためのバクテリアなども含めて、エアレーションで酸素を供給する場合、水1リットルにつき、1時間に2リットル程度の空気を入れてやると十分に供給できるとの調査結果があるみたいです。
 水中の酸素の濃度はどうやって計るのか、アクアリウム用に趣味範囲で使えるものを思いつかないですが、魚の状態を見ながら、鼻上げといって、水面近くに空気を吸いに来るような仕草を見せたら危険信号ですので、気をつけましょう。

●余談
 調べていたら、エアレーションのしすぎも問題があるというお話を見ましたのでそのことを少し。
 酸素が水に溶ける量は3つの要素で上限が決まるという話を書きました。上限まで酸素が溶けている状態を飽和といいます。でも、実はものすごい勢いでエアレーションをしたりすると飽和状態を越えて、過飽和という状態になることがあるそうです。つまり、本来溶けない量の酸素が溶けている状態になるそうで、このようなところで、魚を飼うと、酸素が濃くて逆に調子が崩れることがあるそうです。人間も酸素が濃すぎると酸素酔いになると言われますから、それと同じなのかも知れません。ですから、水温が高くなったからといって、エアレーションをしすぎるのも考え物なようです。ただ、どの程度のエアレーションをしたらそんなことになるのか、調べられなかったので、ちょっと申し訳ないお話でした。

■二酸化炭素って?
 二酸化炭素とはなんぞ?というのを今更説明しても怒られそうなのでしませんが、水槽での二酸化炭素の事について少し。
 二酸化炭素も水中に溶ける量は決まっております。酸素と同じように、水温、気圧で溶ける上限が決まることまでは調べたのですが、塩分濃度でどうなるとか、他の要素はないのかとか、そのあたりを調べ切れませんでした。ちなみに、水温ですが、0度の時に8だけ溶けるとすると、30度の時には3になってしまいまして、酸素と同じように水温が上がると二酸化炭素の溶ける量は減ります。また、気圧も低くなるほど溶ける量は減っていきます。
 そして、またも酸素と同じですが、需要量と供給量で水中に実際に溶けている二酸化炭素の量が決まります。需要は主に水草と苔など、光合成をする生物がそのときの材料として使うという需要があるくらい?です。供給は、エアレーションなど酸素と基本的に同じ方法で供給できますし、水草水槽では強制添加という方法で二酸化炭素を供給します。ミドボンや発酵式などの方法が有名ですね。また、魚など生物が呼吸することで二酸化炭素が供給されます。
 二酸化炭素自体の説明はこのくらいにして、二酸化炭素が水槽にどんな影響を与えるのかを書いてみたいと思います。
 水槽での二酸化炭素には二つの意味合いがあると思います。一つはpHの上下に関係すること。もう一つは植物(水草)の育成に関係することです。この二つにわけて説明します。

●pHのこと
 簡単に言ってしまいますが、水中の二酸化炭素の濃度が上がるとpHは下がる方向に向かいます。その逆に濃度が下がるとpHは上がる方向に向かいます。理屈はありますが、私もいまいち理解していないので、とりあえずこれだけ覚えておけばよいと思います。

●水草の育成のこと
 植物は光合成をして体を作りますが、そのときに二酸化炭素を消費して酸素を出します。つまり、二酸化炭素がたくさん溶けていると植物の生長にはなかなかよろしいということが言えるようです。そのために、光合成をするとき(照明をつけているとき)に水槽に二酸化炭素を添加することで水草の生長を促すことが良くやられています。

水槽に溶けている二酸化炭素の量を調べる方法ですが、pHとKHを調べてそこから計算する方法もありますし、二酸化炭素の濃度を調べる試薬も売られていますので、調べるのはそんなに難しくないと思われます。ちなみに普通の水草水槽の場合には、5〜15ppmの二酸化炭素濃度が良いと言われているようです。

●余談
 二酸化炭素を添加したら、エアレーションをしてはいけない!というお話がありますが、一部ではあっていますが、一部では間違っている主張のようです。二酸化炭素は基本的に水に溶けやすいそうですが、水から逃げやすい物質でもあるそうです。ですので、二酸化炭素が十分にとけ込んでいる水をエアレーションすると、確かに二酸化炭素が逃げてしまうのでまずいのですが、逆に二酸化炭素があまり溶けていない水でエアレーションすると水に溶けやすい性質から、空気中の二酸化炭素を溶かし混む事になって、水中の二酸化炭素濃度が上がるとのことでした。つまり、エアレーションも使いようということのようです。

■RO水って?
 さてさて、今回は水に溶けるもののお話をメインにしてきましたが、最後のお話はなるべく何も溶けていない水のことです。といっても、この話自体が余談みたいなものでして、あまり出てくることはないと思いますので、お気楽に読んでくださいね。
 RO水とは、Reverse(逆)Osmosis(浸透膜)で濾過され、作られた水の事を言います。って、全く説明になってませんね(笑)。いきなり難しい言葉をならべて読んでいる方を驚かせるのはいけません。とりあえず、お忘れください。
 これは一体何かと言いますと、まずは純粋な水がビー玉くらいの玉の集まりだと思っていください。次にその玉にはいろいろなものが混ざっていることを想像します。ゴルフボールくらいのあんな物質だとか、テニスボールくらいのこんな物質だとか、スイカくらいのあれな物質だとか、とにかくいろいろと混ざっているんです。水道水ですと、塩素とか、重金属なんかも混ざりものです。海水だったら、塩はもちろん、いろいろなミネラル分があったりしますし、普通のゴミも入っています。で、そんなゴッチャリといろいろなものが入っている水から、純粋に水だけを取り出したいとなったときに、皆さんどうしますか?普通に考えると、ビー玉だけが通過できて、他のものが通過できない目の粗さのザルを用意しまして、そこに水を通しますよね。そして出てきたのが、純粋な水と言うことになります。これをやるのが、RO水を生成する機械です。純粋な水と書きましたけど、水の中の大部分の不純物が、水よりも大きいのでそのように見えますが、上の例で米粒なんかも混ざっていると、それはそのまま抜けていってしまいますので、完全には分離できないんですが、そういうものはかなり少ないので、大部分は取り除けるという事です。ちなみに、うちの近くのスーパーに置いてあるRO水の販売機の宣伝文句によりますと、0.001ミクロン(1000万分の1ミリ)の穴がザルの穴だそうです。って言われてもよくわからないし、わかっても見えないし作れないのでこういうことは、まずは気にしないことにしましょう。
 さて、このRO水ですが、たまに熱帯魚関係のお話で出てくることがあります。特に海外の方ですと、これを普通に導入されているご家庭も多いと聞きました。海外の場合には日本と違って水道の水をそのまま飲めないところなどあるそうですから、人間が飲むのも困る水を水槽に入れるのは言語道断と言うことで、使われている方が多いようです。
 と、海外では需要がありそうですが、日本ではいらないんじゃないの?という気もします。もちろん水道水をつかって普通に飼うのにはいらないです。でも、RO水は不純物が少ないので導電率が非常に低く、あとから自分の思ったとおりのミネラルなどを添加して、自由に好きな水質を作れるので、繁殖などを狙うときには有効だというお話があったりします(私は使ったことがないので、真偽のほどはわかりません)。そういう話題のときに良く出てくるお話なのです。ですが、逆に言いますと、ミネラルとか、ビタミンとかをきちんと添加しないでRO水のみで魚を飼うと、多分浸透圧の問題なのだと思いますが、ほぼ確実に魚が死にますので、安易に試すのはやめましょう。
 ということで、限りなく混ざりものが少ない水、RO水のお話でした。
 
■最後に
 化学的なこととかも出てきたので、少し難しいお話だったかもしれません。なるべくわかりやすく説明したつもりですが、いかがでしょうか?しかも、説明が下手なものでして、くどかったりしますし(笑)、絵もなかったりしますし(泣)。わからなければ掲示板まで、お気軽に質問してください。答えられればお答えします。
 とりあえず、今回で忘れ物は全部片づけたと思っているのですが…。うーん、またなにかあれば書きますね。


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