WaterBox 〜クラウンローチと魚たち〜

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   プチ外部濾過器を作ろう!

 ※この記事はちょっと長いですし、少し難しい物理のお話も出てきます。文字嫌いや物理嫌いの方はやめた方がよいかも…。そうでない方も、暇で暇で仕方のないときにでもおつき合いください。クラウンローチを飼うのに必須の話題ではありませんので。


■メニュー

◆プチ外部濾過器1

■はじめに
 現在の私の60センチ水槽は、水作エイトMのみで濾過をまかなっていまして、詳しい方々に言わせると、濾過能力不足とはっきりと断言されてしまいそうなのですが、魚の病気もあまりでませんし、水草もまあまあ育ってますし、苔もそれなりですし…。ということで濾過に余裕はないのでしょうが、困っているわけでもなく、おそらく微妙なバランスで成り立っているような気がします。底砂なんかもフル活動で濾過を頑張ってくれてるんでしょうね。とりあえす、ちゃんとバランスしているんですから、それで良いのですが、実はまた”魚を追加したい病”が出てきそうな雰囲気でして…。というか、その病は慢性のような気もします(笑)。ともかく、これ以上増やすとなると、やはり現在のバランスは崩れるであろうと考えるのが順当な判断だと思われます。ということで、濾過能力を増やしてみることにしました。じゃあ、物置に行って昔使ってた濾過装置でも引っぱり出してこようかな、なんて思ったのですが、ふと、足が止まりました。
 「それじゃあ、つまらない…」
危ない考え方です。自分が楽しいかどうかで飼育方針を変えるとは本末転倒も良いところ。でも、なんかやってみたい。もしかしたら、市販の濾過器よりも良いことがあるかも。なんて淡い期待が頭をよぎります。これまで飼育を試行錯誤でいろいろとやってきた虫がうずくのです。
 ということで今回はプチ外部濾過器を作ってみようかと思います。WaterBox初のDIYとなりました。長い前振り。ごめんなさい。
 さて、作る前にまじめな話をしましょう。今回のプチ外部濾過器ですが、いくつか目標を立てました。

  1. お金をあまりかけないこと。高くつくなら濾過器を買ってきた方がよさそうですし、誰でもが真似できないことをネットで紹介しても意味がないと思ったからです。何より、私のお財布は軽いのです(;_;)。ということで、予算は小学生のお小遣いクラスにします(私より多い?)。
  2. 今ある設備を役立てること。お金の節約にもなりますが、何よりも現状のバランスを崩してはなんにもなりません。
  3. 簡単に作れること。不器用で時間もそんなに無いので、これは必須です。また、特殊工具を使うような加工は出来ませんし、接着剤とかも何となく使いたくないですよね。
  4. 配線がごちゃごちゃしないこと。よくあるDIYでどうも気になるのが、電気配線がいっぱい出ていて、蛸足でなんとかしているという状態です。電気は火事などにつながることもありますので自作の場合はあまりそういうことはしたくありません。
  5. 少なくとも自己満足はできること。これはとっても重要です(笑)。
 では、早速どういうものを作るのか考えてみましょう。

■どんなものを作りましょうか
 大まかな方針として、外部濾過器にしようかと思います。理由は、構造が簡単だからです。水槽から、水を引きだして濾材の中を通して水槽に戻す。やっているのはそれだけですので、結構楽に出来そうです。
 さて水槽から水を引き出すことを考えたときに一番最初に必要だなと頭に浮かぶのは水揚げ用のポンプです。でも、ちょっと考えます。ポンプは値段が高いです。テトラのOT-30という外掛け式の濾過器でも1600円、壊すのは勿体ないです。その他、上部濾過器のスペアポンプなんかも売っていますが、2000円くらいします。1000円の水揚げポンプも売ってますが、耐久性がどうにも怪しく、それでも値段が高い。水中ポンプもありますが、それも1000円くらいはしますよね。@が達成できません。しかも、ポンプには電源が必要でして、現状よりもコンセントが一つ増えてしまいます。Cが危うくなります。ということで、電動の水揚げ用ポンプは却下です。
 では、どうやって水をくみ出そうかと考えたときに、エアリフトという方式が思いつきます。水作エイトなどの投げ込みフィルターや底面濾過フィルタに使われている原理です。その詳細はここで説明すると長くなるのでここに書いて、先に進みます。とにかく、エアリフトなら、今のエアポンプを使えばいいですから、お金も節約、電源も増えません。そこで目を付けるのが水作エイトMです。水槽の中で盛大にブクブクと泡を吹き上げてますね。それを利用しようというわけです。ちょっと実験です。右の写真を見てください。水作エイトMのブクブクが出てくるところにホースを挿して水面から持ち上げます。すると、水が水面よりも上に来ていることがわかります。写真では、水面から、揚水面が6センチほど上がっています(泡がぶくぶくで見にくいですが)。水面よりも高い位置に水を持ち上げられると言うことは、これで水をくみ出せると言うことです。とりあえず、これで水槽から水を濾過器に入れることは出来るようになりますね。
 今度は濾過器に入れた水を水槽に戻す方法を考えないといけません。ということで、またも物理現象の登場です。今度はサイフォンの原理。例のごとく説明が長くなるのでそれはここに譲るとして、要は二つの水槽の水位を同じにするというサイフォンの性質を利用して、濾過器側の水位が上がったらその分だけ水槽に戻してくれるようにします。これで水を水槽に戻す作業も、めどがつきました。さて、ここで今回作るプチ外部濾過器を簡単な図にしてみました。
 図を簡単に説明します。エアポンプから空気を送り、その空気で本水槽に入っている水作エイトを動かします。水作エイトはその上部と底部から水を吸い込んで空気の泡と一緒に筒になった部分から上へ吐き出します。その筒にホースを取り付けて空気と水を一緒に水槽の外部に導きます。その空気と水を濾過水槽に入れます。濾過水槽には上から物理ろ材、生物ろ材の順番に濾材をセットしてあり、その中を水が通過します。濾過水槽の下まで降りた水は、サイフォンの原理でホースの中を通って本水槽に戻ります。台は濾過水槽の水面がちょうど良い高さに来るように、高さ調節をするために置いてあります。
 と、概要はこんな感じです。案外簡単にできそうな気がしませんか?


■お買い物
 ここまで来ればできたも同じ?ですので、材料集めに行きましょう。ということで、買い物リストです。一応サイズなど書いてありますが、全く同じでなくても、同じ役割を果たしてくれるなら違うものでも良いですよ。また、全ての部品に言えることですが、水の中で余計な成分が溶けだしたり、崩れてしまったりしないようなものを用意してください。

●ホース1
 内径8mm、外径13mmのビニールホースです。長さは外部濾過器を置く場所との距離や水槽の深さなどにもよりますが、今回は1メートル買ってきました。ちなみに、私が今回取り付けるのは水深36センチの水槽で、プチ外部濾過器と水槽の距離は2センチくらいです。
 値段は10センチ21円でした。
 私と同じホースは見つからないと思いますので探すときのコツを書きます。柔らかくて良く曲がるホースがよいと思います。硬くて、少し強く曲げると折れて詰まるホースもありますがそれは使いにくいです。今回買ってきたのは灯油を通すためのホースでした。

●ホース2
 内径15mm、外径18mmのビニールホースです。長さは10センチもあれば十分です。
 これは何に使うかといいますと、ホース1は細いために水作エイトMの泡の出る筒の部分には入らないんです。それで筒にすっぽりかぶせられる太さのホースを用意したのがこれです。このホースを使って水作エイトMとホース1を接続します。ですので、10センチもあれば十分なのです。値段は10センチ29円でした。
 こちらのホースは普通の水道用のホースでよいです。特に曲がりやすくないといけないわけではありません。ただ、ハサミで切りにくいほど硬いと作業がしずらいですので、安物のホースで良いように思います。

●ケース(濾過水槽)
 濾材を入れるための水槽です。基本的に大きな方がよいですが、水槽の横に置きますので、あまり大きいと邪魔なので適当なものを見繕ってください。それと、なるべく断面が四角い方が納まりがよいです。今回用意したのは100円ショップで売っていたパンなどを入れておくためのケースです。容量は約4.5リットルあります。もちろんこれでなくとも、濾材を入れる大きさがある入れ物で、水が漏れたりしなければ問題ないと思います。他に思いつくのは2リットルのペットボトルとか、ゴミ箱とか、小さめの衣装ケースなんていうのも使えるかもしれません。
 ちなみに市販の外部濾過装置の濾材容量は、エーハイムの2213が3リットル、2228が7.3リットル、2260が18リットル、フルーバルが104〜404で3.2〜8.5リットル、ニッソーのプライムパワーが1.3〜5リットル、ジャレコのNEOシリーズも1.9〜6.6リットル程度ですので、プチ外部濾過器としては、2リットルもあればなんとなく格好がつくのではないかと思います。
 この写真のケース、値段は105円でした。
 

●キスゴム
 ホースを水槽内に適当に止めておくのに便利なので買ってきました。無ければないで、別の方法で止めればよいので、いらないかもしれません。アクア用のキスゴムをとりあえず、2個買ってきました。値段は2個入りの袋で128円でした。

●スポンジ(濾材)
 濾材は本当に何でも良いと思います。普通に売っているリング濾材や球濾材、砂利でも、ウールでも構いませんが、とりあえず今回は洗車用のスポンジにしてみました。濾材は結構お金のかかる部分なので、安くあげるということと、物理濾過用にはスポンジを薄く切って敷き、生物濾過用には適当にサイコロ状に切って使うことが出来るので、これにしてみました。ちなみに、洗車や台所用スポンジを使う場合には抗菌処理されていないものを選んでくださいね。バクテリアが定着しなくなってしまいますので。また、スポンジの中には希に使っているうちに溶けるものがありますが、それは使わないとわからないので、溶けないことをお祈りしてください(笑)
 写真のスポンジも100円ショップの品です。一つ105円で二つ買いました。

●水作エイトM
 これを使って濾過能力アップを目指す事を前提にしているので、買い物リストに入れて良いのやらわかりませんが、とりあえず紹介しておきます。超定番の投げ込み式濾過装置です。ホームセンターなどでも頻繁に見かけますので特に購入するのに困ることはないと思います。値段は680円でした。

●エアポンプ
 これも元々あるものを使うつもりなので今更買いに行くことは無いと思いますが、とりあえず紹介しておきます。写真のものは水作の水心SSPP-7というエアポンプで880円で買いました。最大吐出量が毎分600CC、圧力が0.08kg/cmという性能です。

●台
 重さに耐えられて、水がこぼれても問題ないものであれば、何でも良いです。台の上にケースを載せたときに、ケースの一番上の高さが水槽の高さよりも数センチ高くなるような台を用意します。ですので、、高さを微妙に調節できるようなものがベストです。ですが、なかなか無いですね。私もちょうど良いものがなかったので、台は家にあった木の箱、台とケースの間に古雑誌などを挟んで調節しました。


買い物はこれで終わりです。水作エイトとエアポンプ、台を除けば、600円くらいですむので、お小遣いでなんとかできる範囲ではないでしょうか。このほかに工具としてハサミを用意します。では、実際の作業に移りましょう。


■作り方

(1)水洗い
 とりあえず、水に浸かるものは全部洗いましょう。埃とか、油とか付いていると思いますので。数日間水につけておくのも良いかなと思います。ケースに水を張って他の部品を全部入れてしまうと良いですね。といいつつ私は水洗いしただけで使ってますが。

(2)ホースを水作エイトに接続する
 ここからやっとDIYらしくなってきました。ホース1を水作エイトに接続します。完成図が右の写真です。ホース2が水作エイトの筒にすっぽり入るんですからそれをそのまま使えばいいとおっしゃるかと思いますが、実はエアリフトの場合、ホースが太すぎると水があまり高く上がらないんです。それで細めのホース(ホース1)につなぎなおしています。ちなみにホース1が細すぎるとエアが漏れますので、太すぎず、細すぎずの適度な太さが必要です。
 さてやり方ですが、どんな手を使おうと、上手くつながればそれでよいです。しかも水中なので多少漏れても構いません。気楽です。
 私が買ったホースの場合(太さは上記、ホース1が1メートル、ホース2が10センチ、それぞれ1本)の手順ですが、
@ホース2から2センチほどの長さを切り取る→ホース2の切れ端
Aホース2の切れ端を縦に裂いて長方形にする。
BAをホース1の端に巻く。だぶってしまった部分は綺麗に切ってちょうどホース1をぐるりと1周巻くようにする(写真の”ホース2の切れ端”の部分になる)。
Cホース1にホース2の切れ端を巻いた上から、ホース2の残り(8センチ)を差し込む。このときに多少無理して、ぴっちり入るくらいのホースを買ってくるのがベストです。あまり緩いとエアと水が漏れますし、きついと入りません。
Dホース2を水作エイトにかぶせる。

この作業が今回のほとんどメインです。これが終わるとあとは大したことは残っていませんので、頑張って細いホースを水作エイトに取り付けてみてください。今回紹介した以外の方法でも、エアがあまり漏れないように取り付けられれば良いですので、工夫してみてくださいね。

(3)ケース(濾過水槽)を設置する
 台を置いて、ケースをその上に載せます。ケースの高さが、水槽の高さよりも数センチ高くなるように設置します。それより高くても構いません。ケースの方が高いぶんには濾材の入る容量が減るだけですので問題はないですが、間違ってもケースの方を低くしないでください。特に水槽の水面よりもケースが低いと、サイフォンが働きませんので、この濾過装置は動かず、周囲が水浸しになるので注意してくださいね。

(4)水作エイトを水槽に入れる
 ホースを付けたまま水作エイトを水槽に沈めてください。エアポンプのホースも付け忘れないでくださいね。

(5)ホース1を適当な長さに切る
 (2)で接続したホース1は買ってきた長さ(1メートル)のままですね。水作エイトを水槽に入れましたので、ホース1が水面からニョキッと出ていると思います。それをケースの上まで引いていって、多少余裕を持って届く長さで切ります。だいたい60センチくらいで切ることになると思います。

(6)水作エイトを試しに動かしてみる
 ここまで出来ればとりあえず水を水槽から吸い出すことは出来るようになったはずです。ということで試験をかねて水作エイトを動かしてみましょう。まだ水槽へ戻す経路が出来ていませんからケースの水をあふれさせないように気を付けてください。左側の写真がぶくぶくと泡の出ている水作エイトの様子です。泡が水を巻き込んでホースの中を昇ってゆきます。右側の写真がケースの方の様子です。ホースの中からエアと水が一緒に出てきています。このように水が水槽からケースに流れ込めば成功です。もし水が途中までしか行かなかった場合は、次の項目をチェックしてみてください。
●ホースが太すぎないかどうか
●水作エイトとの接続部分からたくさんのエアが漏れていないかどうか
●ホースの途中の高さが高すぎていないかどうか。あまり途中を高くすると水が上がってきません。
●ホースが途中で折れていないかどうか
●エアポンプのパワーが弱すぎないかどうか

だいたいこの辺りをチェックすると悪いところが見つかります。上手く動いているのが確認できたらケースに水を半分以上入れてから、いったんポンプを止めます。

(7)水槽に水を戻す経路をつくる
 まずは、キスゴムを水槽とケースに一つずつ付けます。水槽の方は、水が流れ出てくる場所を適当に決めて下さい。なるべく水深の深い場所の方が良いと思います。ケースの方は下の部分から水を吸い出す予定なので、なるべく底に近いところにホースの口を設置できるよう、考えて配置します。
 先ほど切り取ったホース1の残りがあるので、それをケースと水槽の間に渡してみて、付けたキスゴムの位置に合わせて適当な長さに切ります。切ったホースでサイフォンの状態を作らないとなりません。私が良くやる方法はホースを完全に水没させて中の空気を抜き、両方の端をつまんでホースの中に水を入れた状態を作ります。片方の口を水槽側、片方の口をケース側の水の中に入れてから、つまんでいた手を静かに離します。この途中でホースの中にエアが入ってしまわないように気を付けましょう。あとは、先ほど取り付けたキスゴムにホースの端をそれぞれ引っかけます。サイフォンの原理がきちんと働いていれば、水槽とケースの水面の高さが同じになるように、水がホースの中を流れるはずです。水面の高さが同じになったら成功です。写真では手前の下側にキスゴムが付いていて、それにホースを引っかけてあります。

(8)濾材を入れる
 今回はスポンジを濾材にしましたのでそれを入れるやり方を書きます。といっても難しいことはありません。サイコロ状(左写真)にスポンジを切って入れるだけです。あまり大きいと表面積が小さくなりますし、小さすぎると水の流れが悪くなりますので、適当な大きさにしてください。形は本当に適当でよいと思います。そのまま入れると浮きますので、水の中でしっかり絞って水を含ませてから入れます。最後に物理濾過用にスポンジをシート状(右写真)にして、サイコロ状に切った濾材の上にのせます。その上に水作エイトから出ているホースの先をのせてください。

(9)完成
 右の写真のような感じでとりあえず完成です。蓋をのせてありますが、のせてあるだけです。ケースの蓋に穴を開けたりしてホースを通してやるとしっかり蓋が出来るようになりますが、それは好みでやってください。別に蓋がないと困るわけではありません。多少、水が蒸発するのを防げると思いますが、見栄えの問題かと思います。

(10)動かしてみる
 エアポンプのスイッチを入れます。水がケースに入ってきて、物理濾過用のスポンジの上で泡が弾けるような感じになると思います。しばらく動かして、きちんと水が戻っているかどうか、あふれたりしないことを確認しましょう。確認できたら、お終いです。接着剤もなく、ドリルなんかも使わないので、結構簡単に作れると思いますがどうでしょうか?
 右の写真は使いはじめて1週間たった様子です。スポンジが黒くなってますね。それなりに濾過の効果はあるようです。とりあえず、ここまではきちんと動いてくれていますので、しばらく使ってみるつもりです。


■問題点など
 プチ外部濾過装置のことについてやってみて気づいたことなど少し書いてみたいと思います。
 作るのが簡単です。材料を揃えてから30分くらいで完成しました。また、今までの水作エイトはそのまま水槽の中で動いていますので、濾過能力がこれまでに比べて落ちてしまうということは無いのではないかと思っています。コンセントも増えませんし、手軽にお試しで作ってみるには良いかなと思います。
 ただしいくつか問題点があります。
 まずは水位の問題です。水槽の水位が下がると、エアリフトで持ち上がる水の量が減ります。つまり濾過水槽に水が入りにくくなってしまいますので、常に水槽の水位を高く保つように蒸発分の水は足してあげる必要があります。次に、この濾過器を付ける前は、水作エイトから出るエアが水槽内をかき回していたので、適度な水流ができていたのですが、それが無くなります。その影響がどうなのだろうかと思っています。一応、水槽に戻るホースの出口からはそれなりの勢いで水が出ていますので、外部濾過器を普通に付けたのとあまり変わらないようにも思うのですが。次に、やはり、造りがいい加減ですので、ひっくり返したりするとひどいことになります。あまり無いとは思いますが、何かの拍子で水を水槽に戻すサイフォンが機能しなくなると水があふれますので注意が必要です(といっても市販の外部濾過装置も失敗すると水浸しなんですけどね)。
 ちなみに、透明のケースでやると中に苔が生えることがありますので、周りを適当な遮光物で囲ってくださいね。
 とりあえずいろいろやってみたい方、外部濾過装置が高くて手を出せない方などは一度試してみてはいかがでしょうか。少なくとも、自己満足だけは得られると思いますよ(笑)。


◆プチ外部濾過器2
 プチ外部濾過器1の問題点など踏まえまして、先日新しいプチ濾過器を作りました。上の濾過器も3ヶ月使用しましたが、特に問題もなく、魚たちも至って元気にしておりまして、別に悪くはないのですが、とりあえず保険の意味合いも込めまして、濾過容量を増やしてみたいということで濾過層として使っている容器を取り替えようと思いました。ですが、ただ取り替えてもおもしろくない(笑)ので、いくつかの問題点を解決しようとちょっぴり頭をひねりました。そのプチ外部濾過器1の問題点なのですが、
  1. サイフォンが何かの弾みで機能しなくなると水槽の水が全部無くなるまで水が溢れてしまう
  2. 水槽にエアレーションが無く、水があまり動かない(酸欠になる?)
  3. 濾過層にコケが生える(笑)
ということがちょっと気になっていたのです。とはいえ、3ヶ月使いましたが1についてはそのような事故は一度も起こりませんでした。また2についても水が動かなくて困るということは特にないようでしたし、夏でしたが酸欠の様子もなかったですので、魚に影響が出たようには思えませんでした。でも転ばぬ先の杖というか、対策をしておくことに越したことはないですので、今回改善してみたいと思います。ちなみに3に関しては自分でもバカなことをしたなと思います。透明なケースで日光が差し込む場所においておけばコケが生えるのはある意味当然でして…。ということで、今回はこれらの問題を解決すべく、少し方式を変えました。

■どんなものをつくりましょうか?
 基本的に考え方はプチ外部濾過器1と変わりません。水作エイトを利用したエアリフトの水揚げを使って水槽の外の濾過層に水をいれて、サイフォンでその水を戻す。と…。でも、このままでは1の問題点が解決されませんので、今回は逆にしてみました。右の図を見ていただけるとわかると思いますが、濾過層から水作エイトで水を水槽に入れて、サイフォンの原理で水槽から濾過層に水を戻すようにしました。こうすると、サイフォンが何かの理由で機能しなくなっても、水槽の方に水がたまりますので、溢れる危険性は少ないですし、濾過層の容量は水槽に比べると小さいですのでたとえ溢れてもその水の量は少なくてすみます。これで水漏れに関しては少し安心できるというものです。また、水作エイトから出る水(濾過層から水槽に戻る水)は空気と混ざっていますので、水槽に入るとエアレーションの効果を発揮します。
 ただ、今回少し問題になるのがサイフォンで水槽から濾過層へと水を送っているということです。サイフォンに利用するのはただのホースですから、水槽の水をそのまま吸い込んで濾過層へと送り込みます。うちの水槽の場合、常に何かの稚魚が泳いでいたりしますので、このままではそれを吸い込んで濾過層送りの刑にしてしまいます(笑)。ですので、サイフォンに使うホースの水槽側にスポンジフィルターを取り付けまして稚魚の吸い込み防止と、多少の物理濾過、生物濾過を期待してみました。

■お買い物
 といっても前回のプチ外部濾過器1の部品を基本的に流用するので、システムとして増えるのは吸い込み防止用のスポンジフィルターだけです。その他に私は今回、濾過層の容量アップと苔対策のために容器を買い直しましたのでそれと、濾材を少し増やしましたのでその分が追加になっています。追加分のみ書きます。

●スポンジフィルター
 サイフォンに使うホースの外径は13mmですので、それに合うようなスポンジフィルターを探しました。それで見つけたのが、テトラの外掛け濾過器OTシリーズ用のストレーナーフィルターです。ちょうどホースの外径にぴったりとはまりまして、それで万事OKと言いたいところですがちょっと工夫が必要でして…。それに使う器具は下で。このフィルターの値段は2個セットで348円でした。一つはうちにあるOT-30につけたので、一応174円ということですかね。

●お菓子袋の留め金(笑)
 上のスポンジフィルターは何が駄目かと言いますと、スポンジにパイプを通す穴があいているのですが、それが向こう側まで突き抜けていると言うことです。つまり、”ちくわ”状態でして、そこに同じく”ちくわ”であるホースを差し込んでも水はちくわの穴からほとんど流れ込むので無意味です。ということで、スポンジフィルターの片方の穴を塞ぐためにお菓子袋の留め金(名前がわかりません)を使います。細い針金にテープ状のビニールがはりつけてあるあれです。巻き付けてちょっとねじると止めることのできる便利なものです。考えた人は偉いと思います。同じように袋の口を閉じられるようなものであれば良いので、紐でも輪ゴムでも大丈夫ですよ。とりあえず、水に溶けないものにしてくださいね。ということで、廃品利用なので0円です。

●容器(濾過水槽)
 今回、濾過容量アップと濾過層の苔対策のために買い換えた容器ですが、別に前回買った容器をそのまま使っても問題ないです。とりあえず、今回はゴミ箱にしてみました(笑)。容量は約7.8リットルです。前回の2倍弱ですが、今回は水作エイトが濾過層に入りますので、そこまで大幅な容量アップと言うことにはならないです。そして最大のメリットが黒いことです(笑)。前回、透明の容器にしたために、濾過層にコケが生えるという失態をやらかしまして、その教訓から今回は光をシャットアウトできるようにしてみました。やっぱり100円ショップで買いましたので105円でした。

●洗車スポンジ&砂利
 濾材にするために前回使用した洗車スポンジを一つ追加しまして、他にもなにか入れた方がいいかなぁなんてちょっと思いましたので、余っていた五色砂という3〜5ミリくらいの粒の底砂を入れてみました。生物濾材なんて、条件さえ満たしていれば別に何でも良いんですよね。ということでお好きな生物濾材を入れてください。値段は…、スポンジが105円で、砂利は余り物なので0円という事にしておきましょう。

■作り方
 早速組立ですが、これもあまり解説することは無かったりします。前回作りましたものをそのまま濾過層側と水槽側で取り替えるだけですので、変更点や注意点を重点的に書きたいと思います。
(1)水洗い
 容器などをしっかりと洗いましょう。

(2)濾過水槽(容器)の設置
 前回と同じように台の高さを調整して水槽のすぐ隣に濾過水槽にする容器を設置します。高さは容器の口が水槽の水面よりも必ず高くなるようにしてくださいね。

(3)水作エイトを濾過水槽にいれる
 前回、水作エイトにホースを接続しましたが、それをそのまま濾過水槽に入れてしまいます。そうするとホースの先が濾過水槽から出てくると思います。ここでポイントですが、前回のものを流用した場合、基本的にホースの長さは短くてすむはずなので、水槽までホースを引いていって、水がきちんと水槽に入るところで適当に切ってください。このとき、水槽側のホースの先を水に深く沈めると圧力の関係で水が出てこなくなりますので、あまり深く沈めないか、もしくは水上に出していても良いと思います。また、前回使いましたキスゴムを水槽につけてそれにホースの端を引っかけると収まりが良くなります。それと、きちんとエアチューブも水作エイトにさしておいてくださいね。

(4)水作エイトを試しに動かしてみる
 濾過水槽から水槽に水が行くかどうかを確かめるために濾過層にいっぱい水を張りまして、水作エイトにエアポンプで空気を送ってみてください。空気の泡と一緒に水が水槽に入るようであれば成功です。エアポンプを一端止めましょう。もしもうまくいかなければ、下の項目をチェックしてみてください。
●濾過水槽に水が上の方まで入っているかどうか
●水作エイトとの接続部分からたくさんのエアが漏れていないかどうか
●ホースの途中の高さが高すぎていないかどうか。あまり途中を高くすると水が上がってきません。
●ホースが途中で折れていないかどうか
●エアポンプのパワーが弱すぎないかどうか
これらを調べて改善すればおそらく動くと思います。

(5)濾過水槽に濾材を入れる
 私はまず砂利を入れまして、それで水作エイトが埋まる感じになりました。砂利の粒が比較的大きいですので、この程度であれば埋めてしまっても水の流れに影響はありません。あまり細かいと水作エイトに詰まりますのでお気をつけください。その上から洗車スポンジを細かく切った濾材を入れ、これを生物濾過層としました。さらにシート状にしたスポンジをその上に載せて物理濾過層としました。

(6)スポンジフィルターの加工
 加工なんて大げさなことを書いていますが、実際にはスポンジフィルターの片側を縛って止めてしまうだけのことです。写真をご覧になると一目瞭然だと思いますが、ホースの先につけるフスポンジィルターの片側をお菓子袋の留め金で絞っているだけです。こうしないと、スポンジフィルターを取り付ける意味が無くなります。このようにして水を吸い込むときにスポンジの中を水が通過するように工夫しました。
 このように作ってから一端ホースからスポンジフィルターを外してください。

(7)水槽から濾過水槽への経路をつくる
 今回はサイフォンでの水の流れが前回と反対で水槽→濾過水槽です。その間にサイフォンを働かせる方法は前回と同じです。違うところは、濾過水槽側のホースの位置でして、前回は濾過水槽の下の方から水をくみ出していましたが今回は濾過水槽の上に水を供給するので、ホースの先は先ほど入れた物理濾過用のスポンジの上に置いてください。このときにも前回のホースを使うとおそらく長いですので適当なところで切ったり、キスゴムにはめたりして長さや位置を調整してください。

(8)ホースにスポンジフィルターを取り付ける
 サイフォンを働かせるのにスポンジフィルターがついていると邪魔なので取っていましたが、ホースのサイフォンがきちんと動き始めたら取り付けてください。

(9)完成
 前回のものをほとんど流用したので、今回は工作らしい工作もなく、おそらく15分もあれば完成すると思います。蓋もあった方がよいですが今回はゴミ箱を買ってきたので蓋がないです。無くても機能としては問題ないですが、光が当たるとコケるのでなるべく遮光できるものを用意すると良いと思います。私も早急に適当なものを探してこようと思います(笑)

■問題点など
 今回はプチ外部濾過器1の問題点修正なのでプチ外部濾過器2に変えたからといって問題点が増えたわけではないです。依然として残るのは、ちゃちな作りなので、倒してしまうと水がこぼれることや、サイフォンが止まると濾過器としての機能を果たさなくなることなどがあげられますが、今回水漏れの時の漏れる水量やリスクを減らせそうなことや、エアレーションを行えるようになったことは良かったと思います。また、後から気がついたのですが、水槽内から水作エイトが消えましたので、普通の外部濾過器のようにすっきりと水槽内を使うことができるようになりました。またスポンジフィルター(濾材)をつけましたので多少は生物濾過、物理濾過ともに能力が上がったような気はします。これも今回のような小型のものではなく、ニューブリラントの替えスポンジとか、もう少しまともなスポンジフィルターを使えば生物濾過も十分に期待できるものと思います。ちなみに、この方式だと外部濾過と言うよりは、オーバーフローと呼んだ方が良いのかも知れませんね。まあ、とりあえず、外にあるし、なんかオーバーフローなんて大げさな事を言うと、怒られそう(笑)なので外部濾過器という事にしておいてください。
 またしばらく使ってみて問題点などありましたら追記したいと思います。

■最後に
 今回、このプチ外部濾過器2を作りに当たり、水槽生活さんの情報・雑記第3倉庫で、「濾過器側からリフトしたらよいかも」というアイデアをいただいていまして、それを私なりに考えてやってみました。このアイデアをくださったジャガーさん、プリンさんに感謝したいと思います。また、同コンテンツ内ではお茶ポットで作る外部濾過器のお話や、テトラのブリラントを利用した底面濾過(情報・雑記第4倉庫)も提案されています。おもしろいですので興味のある方は是非見てみてくださいね。

■追記
 このプチ外部濾過器2を実際に制作されて、改良されたヨーキーさんがその様子を教えてくださいました。紹介します。(以下、ヨーキーさんの書き込みを一部変更、抜粋させていただきました)
「我が家で使用している「プチ外部濾過器2」、3ヶ月以上使用しましたが、何の問題もなく順調でした。そこで、気になりだしたのが、サイフォンのために水槽内に突っ込んでいるホース…。これを、できるだけ「見た目」のよいものに改良できないかと思いました。
内径16のパイプを買ってきて、ノコギリで適当に切断。90度に曲がっている継ぎ手を2つくっつけて完成!
エアを巻き込んでいるかどうか外から見えないので不安ですが、順調順調。見た目もスッキリ。流量に支障なし。
41×21×26の水槽ですが濾過的には問題なし。ただ、我が家では、バケツ(濾過層)の中に入っている水作エイトがSサイズですけど。
今回の費用は、パイプ134円、90度継ぎ手36円×2、塩ビ用接着剤207円、合計413円でした〜」
とのことです。すっきりとパイプでサイフォンを作るというのは良さそうですね。
ヨーキーさん、参考になる報告をありがとうございました。



◆プチ外部濾過器3

■はじめに
 いろいろと作るのが好きな猫丸ですので、また工作をすることになりました(笑)といっても、別に前回の濾過器に大きな不満があったわけではなく、それならそれで良いかなと思っていたのですが、実は水槽生活さんの情報・雑記第4倉庫で”ある意味オーバーフロー水槽”という記事を見つけてしまいまして。何だか楽しそうなので、それを作ってみようかなと思った次第です。といっても今よりも悪くなるものを作っても仕方がないので、それならやらなかったのですが、この方法を使ってみようと思ったのはズバリ「サイフォンを使わなくても良いから」です。前から気になっていたことの一つに、サイフォンで濾過層と水槽の間の水のやりとりをしている事がありました。サイフォンが一概に信頼性が低いと言うつもりはないのですが、魚が予想外の動きをしたり、水槽には枯れた水草など、パイプを詰まらせる要素がありますし、エアレーションをしている関係上、空気がサイフォン管に入って停まってしまう可能性も無いわけではありません。今までそのような事故は起きていないのですが、不安であることは確かでして、それをもう少し信頼性の高い方法に切り替えられたら良いなと思っていました。それで、今回のプチ外部濾過器3の制作となったわけです。


■どんな物を作りましょうか
 仕組みについてはリンク先の水槽生活さんで解説されているのですが、多少私のアレンジ(というか、ありもので作ったのでそうなったという方が正しいですけど…(^^;)が入っていたりするので、今回作った物をきちんと説明しようと思います。右の図を見てください。非常に構造は簡単です。水槽よりも高い位置に濾過層を用意しまして、そこに水槽からポンプで水を送り込みます。そうすると濾過層から水が溢れますので、その溢れた水を水槽に戻してやるという方法です。濾過層の1カ所だけを低くしておけば、そこから水があふれ出しますから、水槽側の壁の一部を下げまして、そこに樋を作って水槽に水を導くという原理です。これですとサイフォンを使って水槽に水を戻したりする必要がありません。外掛け濾過器を大きくしたような作りだと考えていただければ良いと思います。
 

■お買い物
 前回のプチ外部濾過器2の部品を流用しますので、ホースなどは買ってきませんでした。新しく購入した物について主に説明します。

●水中濾過器@
 今回はエアリフトを使わないでやってみようと言うことで水中濾過器にご登場願いました。といっても一番安い価格帯の水中濾過器を使っているのは言うまでもありません。ということで、右の写真の濾過器、水作のスペースパワーフィットです。水槽のコーナーに設置できて、つまみで流量調整ができる優れ物です。うちの近くのお店で1000円〜1200円程度で売られていました。水槽内に水流を作ろうと思って買ったものでして、これが手元にあったので水中濾過器を使おうという発想になったわけです。が、ちょっと問題がありまして…。

●水中濾過器A
 上で問題があると書きましたが、どう問題があったのかは後に回しまして、とりあえず、こちらの水中濾過器も紹介しておきます。GEXのe−ROKA(PF−200)です。こちらはノーマルな水中濾過器で、特にこれと言った特徴もないのですけど、最終的にはこちらを使うことになりました。理由は後で説明します。ちなみに値段はうちの近くのお店で1000円程度です。

●ゴミ箱
 またまたゴミ箱を買いました(笑)。やっぱり手頃な容器というとゴミ箱になるのです。これも100円ショップで買いまして、値段は税込み105円。今度は前回よりもさらに大きくなっておりまして、容量は約12リットル。そんなに大きな濾過層はおそらく必要ないですけど、とりあえず、濾過器も含めた全体の水量が増えるのは良いことなので、これにしてみました。また、今回は濾過層を水槽よりも高く設置するので、なるべく高さのあるゴミ箱(これは30センチほど)が欲しかったと言うことと、いろいろと試行錯誤はしたのですが、最終的には作業の途中でゴミ箱を熱して変形させるという力業になってしまいまして、それができる材質の物を選んでおいて良かったなと後から思った物です。

●ホース
 前回、前々回と使いましたホースをそのまま流用しています。内径8mm、外径13mmのビニールホースです。長さは、水槽の水中濾過器から濾過層の底まで届く長さが必要なので、50センチ程度用意しました。
 このホース、一つだけ条件がありまして、濾材の重量が結構かかるかもしれませんのでなるべく肉厚で潰れにくいホースを選んだ方が良いと思います。

●シート(ポリプロピレン)
 濾過層から水槽に水を導く樋を作ろうと思って買ったのですけど、微妙に使い方が変わってしまったポリプロピレンのシートです。これも100円ショップで105円でした。カッターやはさみで切れることと、良く曲がること水をはじくことで、かなり使い勝手が良かったです。同じような材質なら他の物でも良いですし、プラ板やアクリル板なんかでも良いような気がします。

●その他
 ガスコンロ(家にある普通の調理用のガスコンロ)、ペンチ(これも普通のペンチです。熱で溶けない物にしましょう)、カッターを使いました。

■作り方

(1)水洗い
 前回同様、水に入る物はきちんと洗いましょう

(2)濾過層(ゴミ箱)の加工
 (※火を使うので気を付けてやってくださいね。子供の方は大人と一緒にやりましょう
 ここが今回一番厄介だったところです。ゴミ箱の縁の一部分を低くして、そこから水が流れ出すように改造しなければいけません。そのときにまず考えたのが、ゴミ箱の一部分を切り欠いて、そこに上で紹介したシートとシリコンボンドで樋を作るというものでした。ですが、試しに、その樋を作ってゴミ箱にくっつけて水を流してみたところ…。水がものすごい勢いで漏りまして…(涙)。今回、サイフォンを捨てたのは、より高い信頼性を求めてのことなのですが、全く信頼できない代物になってしまいました(T_T)。やっぱり、素人にはそういうボンドで接着してきちんと密閉するとか、水が漏れないようにするとか、そういうことは難しいです。しかも不器用な私には無理だということが今更ながらに判明したのでした。

上から見たところ。微妙に前に突き出しています

正面から見たところ。他よりも低くなっています(重要)

斜めから見てこんな感じになったらとりあえずokです。
 そこでちょっと考えます。このままではこのゴミ箱は本当にゴミ箱行きになってしまいます。ということで、次に考えたのが、上のシートで、ゴミ箱の内側に高い壁を作りまして、それの一部分を外に向けて曲げると言うことでした、が…。それも、壁の隙間から水が漏れることが判明しまして(あはは…)。却下となってしまいました。それで、ちょっとやけくそ気味になってしまいまして、「こうなったら溶かしてやる!」なんてことを言い出したわけです。それで、まずはハンダゴテを取り出しましてゴミ箱を熱してみましたが…。私のイメージではクニャッといい感じに柔らかくなって適当にのばせるはずだったのですけど、実際には一部分が異常に加熱されて、溶けて流れるという始末です。ハンダゴテは、用途に合わせて使うべきだと言うことを実感しました。さらに「こうなったら火だ!」なんて言いながら、その次に使ったのがチャッカマン。ですが、それも表面を焦がすのみに終わり…。うまく溶かすにはかなりの熱をかなりの範囲に当てないといけないことがわかりました。
 夕日を見ながら脱力感にさいなまれておりましたら、夕飯の匂いがしまして、「これですよ、これ!」と手を叩いて喜んだ(一部脚色)のが、家のガスコンロです。かなりの熱量が広範囲に放出されますので、なかなかナイスです。
 ということ(長い前振りすみません)で、ガスコンロでゴミ箱の縁を熱しつつ、溶けてきたなと思ったらペンチでその部分を引っ張ると言うことを、30分ほど続けまして、できあがったのがこの写真です。本当にお見せできるような代物ではないのですけど、ゴミ箱の縁の部分が一部低くなっておりまして、そこがくちばし(とはお世辞にも言えませんが…)のように前に出っ張っております。この出っ張りも、短いと意味がないので、きちんと水槽まで水が届くように丹念に引っ張りましょう。
 でも、これを作って思ったのですけど、はじめからくちばしのついたバケツを買ってくれば良かったのではないかと…。それは言わないことにしまして、とりあえず、ゴミ箱の加工は終了です。

(3)水中濾過器にホースを取り付ける
 これは結構楽なのかと思いきや、ちょっと手こずりました。水中濾過器の水の出口のパイプに上記のホースをつなぐのですが、水中濾過器@のスペースパワーフィットはちょっとパイプが太くて、差し込むのに苦労しました。結局、ホースの一部分に切り込みを入れてそこから無理矢理ねじ込むという事に(またも力業でした(^^;)。水中濾過器Aのe−ROKAは写真のようにすんなりと通ってくれたので良かったです。今回は今まである物を流用したのでこうなりましたが、はじめから作るのであれば、ホースの太さはきちんと計ってから買いに行けば問題ないと思います。

(4)濾過層(ゴミ箱)を設置する
 ゴミ箱のくちばし部分を水槽に向けて、水槽よりも高い位置に来るように置きます。このときに、くちばしから出た水が水槽に戻るように置きましょう。置いてみてくちばしが短ければまた熱して延ばしましょう。今回使ったゴミ箱は高さが30センチほどで、60センチ水槽よりも少し低いので、下に台になる物を置いて高さを調整しています。

(5)水中濾過器を設置、配管する
 水中濾過器を水槽の中に入れます。もちろん電気コードの取り回しもきちんとしましょう。水中濾過器から出ているホースを濾過層のゴミ箱に持っていきまして、ゴミ箱の底に置きます。上から濾材を入れるのでそれだけでも問題ないですけど、心配でしたら、キスゴムなどで固定すると良いと思います。私はあまっていたキスゴムを付けてみました。
 この状態で試しに水中濾過器を動かしてみましょう。水槽から水がどんどん濾過層に入っていくと思います。濾過層いっぱいになって溢れた水がくちばしのところから水槽に戻れば大丈夫です。くちばし以外のところから溢れるようでしたら、ゴミ箱が傾いていたりしないかどうかまずはチェックします。それがなければ、くちばしの部分が他よりも低くなっていない証拠なので、もう一度ガスコンロで熱して上の写真のように低くしましょう。また、水中濾過器の水量が大きすぎるとくちばしから流れた上にさらに別のところからも流れることになりますので、そのときにはくちばしを大きくするか、水中濾過器の水量を減らしましょう。

(6)濾材を入れる
 水の流れがうまくできていることが確認できたら、あとは濾材を入れましょう。この濾過層は下から上に水が流れますので、下の方にウールなどでゴミを取り除くような物理濾材を入れた方が良いと思います。上の方には生物濾材を入れます。またメンテナンスのことを考えて、生物濾材は適当なネットなどに包んで小分けにして入れると掃除が楽だと思いますよ。とにかくいっぱい入るので、濾材長者の方はこれでもかと入れてみましょう。別に濾材がなければ満杯に入れなくても良いと思いますので濾材貧乏な方も安心です。私は前回の濾材をそのまま入れまして、順番としてはウール、砂利、洗車スポンジとなっています。
 そうそう、一つだけ注意が。濾材をてんこ盛りに入れないでくださいね。それをやると、くちばしから水が出ていく前に他のところから溢れることがあります(溢れました(^^;)。濾材は9分目くらいまでにしておくのが良いかと思います。

(7)一応完成
 濾材を入れ終わったら水中濾過器を動かせば、それで大丈夫なはずです。もしも水が流れなかったときには水中濾過器がきちんと水を送っているかどうか、ホースが潰れていないかどうか確認してみてください。写真のようにうまく流れたら一応完成です。

■ちょっと改良
 実はできあがってからいくつか問題点が浮かび上がりまして、それに対する対応など書いてみます。

●水中濾過器の選び方
 今回、@スペースパワーフィットとAe-ROKA(PF200)を使ったのですが、水量としてはどちらも問題なかったです。ちなみにもう一つ、コトブキのminiBOX120も試したのですが、それは今回のセッティングですとちょっとパワー不足に思いましたので採用は見送りました。それで、@とAなのですが、結論から言いますと、私はAを現在使っています。はじめは@を使っていました。でも、10日ほど経ちましたら水量が当初の半分以下に落ちまして、本当にちょろちょろと流れるだけになってしまいました。原因は@にゴミが詰まってしまったためです。でも、@は今まで水槽の中で水流を作るためにずっと動いていたものなので、たった10日で詰まるのはおかしいなと思って考えてみたら、今回の工作に合わせて濾材を交換していたことに思い当たりました。それまでは@に付属してきた純正濾材を使っていたのですが、それが汚かったので今回はウールに詰め替えていたんです。それで、ゴミが詰まると、水が流れにくくなったようです。ですので、純正濾材を使い続けるのであれば、@で問題ないと思いますが、私はそういう使い方はしない(できない)ので、ウールに詰め替えてもあまり詰まることがなかったAを使っているというわけです。もちろん、これも規格外の使い方なので積極的にお勧めしているわけではありません。ですが、停まってしまっては困るので、使い方に合わせて水中濾過器を選ぶ必要はありそうです。

●エアレーション
 外部濾過器などで良くやりますが、水槽の入れ替えなどで、濾過器を水槽から外してしばらく置いておく場合があります。そのときにせっかく繁殖した濾過バクテリアが酸欠で死んでしまうのを防ぐために、濾材を濾過器から出してエアレーションする事がありますが、それがちょっと面倒に思えたので、今回はこの濾過層ごとエアレーションできるように、濾過層の一番下にエアストーンを先に付けたエアチューブを仕込んであります。そのチューブのもう片側が濾過層からニョキッと出ていまして、そこにエアポンプを接続すれば濾過層のエアレーションができるようにしてみました。密閉式ではない濾過器の利点だと思います。普段は使わないですけど、なにかの時には役に立つかなぁなんて思いつつ、たまにエアチューブをくわえて空気を送り込んだりして遊んでいます(笑)

●水音
 この濾過器作ってみて気がついたのは、水の音が結構うるさいことでした。水槽よりも高い位置から水を水面に向けて落としているので、結構な音がします。上部濾過の落水音に近いものがあります。水音は好きなのですが、私の水槽は寝室にあるので、さすがに少しうるさくなりまして、その対策をとってみました。そのときに使ったのは、使おうと思って買ったのに全く出番が無くなってしまったポリプロピレンのシートです。
 そのシートを適当な大きさ(今回は15センチ×20センチ位)に切りまして、一部分を曲げて、右の写真のような物を作りました。これをゴミ箱からの落水を受けるように設置したところ、かなりの消音効果がありました。取り付けた写真がその下2枚です。取り付け方はすごく簡単でして、私の場合には、ちょうど、くちばしと水槽の縁がぴったりくっついていたのでその間に差し込むだけで固定できました。これは水を受け止めるだけなので、特に水漏れとかを気にする必要はないですから、その場所に固定できればどんな方法でも良いと思います。水面に向かってうまく斜めのスロープができるようにするとよりよいです。
 ただ、この方法、うちのリザードフィッシュにだけは要注意でした。渓流ドジョウの皆さんは、水が流れてくる斜めのスロープがいたくお気に入りのようでして、これを上ってきます(笑)。ですので、そういう魚(おそらくホンコンプレコの種類なども多分好きだと思います)を飼っている方は、そこから逃げ出さないように対策をする必要がありそうです。私はこの上から網をかぶせて、これ以上、さかのぼれないようにしています。

■問題点など
 濾過層が開放型なので、ゴミ箱を倒してしまうと酷いことになるというのもありますし、むき出しの濾過層に蓋をしないと苔が生えると思います。上でも書きましたが、水中濾過器を選ばないと流水量が減ってしまいますのでその辺りを少し吟味する必要はありそうです。また、今回は加工に火を使ったりとちょっと難しかったので、もう少し簡単に作る方法を考えれば良かったなと反省しているところです。でも、とりあえず、サイフォンが停まるのを心配しなくても良くなったことが何よりです。また、ゴミ箱を大型化したので、トータルの水量を大きくとれるようになったのも良かったと思います。今回は水中濾過器で水を動かしていますが、前回使ったエアリフトでも水を動かせるのではないかというご指摘もいただきましたので、また機会を見て考えてみたいと思います。

■最後に
 今回のアイデアは水槽生活さんのジャガーさん、プリンさんに教えていただいたものを、細部を私がアレンジしたものです。また、私が掲載するにあたり、快く許可をいただいた上に、引用元のリンクも、著作権表示も不要との太っ腹なことをおっしゃっておりましたが、さすがにそれは申し訳ないので、こうして感謝の意味も込めまして書かせていただいています。本当にありがとうございました。



■ご注意
 このHPの全てのコンテンツに言えることなのですが、試すときはご自分の責任でお願いしますね。床を水浸しにしてご家族に冷たくされても、火を使って火事を出されても、私は何もできませんので。




■参考資料

●エアリフトの原理について
 エアリフトとは、空気の力で水を持ち上げる事のできる原理です。考案したのはドイツ人の鉱山技師で、物理公式として数式化したのはアメリカ人らしいです。すでに200年以上の歴史のある原理のようです。公園の池などで、老廃物の沈殿を防ぐために、対流を起こす装置として使われているのをよく見かけます。アクアリウムでは投げ込み式フィルタや底面フィルタによく使われている原理です。
 この原理は水の比重を空気でコントロールすることによって成り立っています。
 簡単な例で説明します。まず水中に筒を立てます。筒の片方の端を水面から出し、もう片方を水底から離して配置し、水が筒内に自由に入れるようにしておきます。その筒の中にポンプで空気を送り込みます。すると、筒の中にある水は空気と混合して比重が小さくなります。でも、筒の外の水の比重は前のままですので、水の比重に差ができます。そうすると水圧が筒の中に向かって大きくなるわけです。そうなると、当然周りの水が筒の中に入ってきますから、それに押されて比重の軽くなった水(空気混じり)が筒の中を上昇して、水面よりも高い位置まで昇ってきます。これによって水を汲み上げることができるという原理です。
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●サイフォンの原理について
 サイフォンの原理は、水を中間の高いところを通過して、片方の入れ物からもう片方の入れ物へと移すことができる原理です。考えたのは誰なのかとか、公式とか調べられませんでした。理科の教科書に書いていそうですが、私の教科書は遠い昔に捨てられているのでわかりません。灯油やお醤油のポンプ、集合住宅などの給水塔はサイフォンの原理を使って機能しています。アクアリウムでは、換水や底砂の掃除道具に同じような構造のものが良くありますね。
 例を示しますが、水を入れたコップ(A)と空のコップ(B)とビニールホースを用意します。二つのコップを同じ高さの場所に置きます。Aにホースの片側の口を入れて、もう片側の口を吸うと、水がホースの中を満たします。その状態で口からホースを離して、それをBの底に入れると、水がホースの中を伝わってBにどんどん入ってきます。それで、このままAの水が全部Bに移ってしまえばおもしろいんですが、そうはなりません。両方のコップの水位が同じになったときに水の流れは止まります。逆に、Aの水を何かで取りだしてしまうと、今度は水が逆流してBからAへと水が流れていき、やはり両方の水位が同じになったときに止まります。
 このように二つの水槽の水位を同じにしようとする力が働くために、いったん高いところを通過しているにも関わらず、水が流れます。これがサイフォンの原理です。
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