このサイトが少しでも、試験を受ける方のお役に立てれば幸いです。
勉強の仕方
どの試験にも共通しますが、過去の本試験の問題を中心に勉強するのがベストです。
具体的には、試験問題で聞かれた部分を色鉛筆などでテキスト(教科書)に印をしていきます。
5年から6年分の印を付けていくと、なんとなく試験に出題される部分のメリハリがわかってきます。
試験問題で聞かれていることがテキストに書かれていない場合は、テキストにメモに書いて貼り付けておきます。表や図など参考になるものも貼り付けておきます。
次に、例えば健康保険や年金関係の給付の時効期間を聞かれている問題があった場合は、時効期間を一覧表にします。健康保険、年金を横断的に作っていくと、知識が明確になって混乱がなくなります。
他の参考書などを見ながらでもいいですが、自分で作ったほうが記憶に残ります。
また、わかりづらい部分は、自分で図式にして整理や記憶をしていくと、他の人よりも正解率がアップしますのでぜひやってください。
過去の問題を中心にやるのは、けして 同じ問題が出題されるのを期待するからではありません。
過去の試験は、出題者の意図を読み取るのに格好の材料だからです。
試験には必ず出題者の意図があります。
この試験ではどういう人に受かってもらいたいのか。どういう知識が求められているのか。それを考えながら試験勉強をすすめていくと、合格は早くなります。
試験問題を見ると、実務でもほとんど使わないような細かい部分が聞かれています。
だからといって、細かい部分を全部覚えなければならないということではありません。
あせる必要はありません。、問題全体を見ると、それ以外の知識で答えられるヒントが必ずあります。もし、そうでなく細かい部分だけを聞くような問題は正解できなくて結構です。
ただし、このような問題は、次回その周辺知識が聞かれることがありますので、そういう意味でテキストのその関連部分を読んでおいてください。
ちょっと極端な言い方ですが、以上のようにやってくれば過去問中心の勉強だけで6割程度は余裕で取れます。
テキストの選び方
前述の部分からお分かりのように、ベストなのは過去の試験問題の周辺を必要限度書いてあるテキストでしょう。
その人によって違うと思いますが、すべてを網羅した厚いテキストがいいのかもしれませんが、時間もないでしょうし、読むだけで大変なことですから、ある程度コンパクトでしかも過去の試験問題の周辺知識が書いてあるものを選択するのがベストではないでしょうか。
わたしは、社会保険労務士会連合会の受験準備講習会のテキストと日本法令の詳しいテキスト(労働・社会保険の詳説)を併用しましたが、正直言って日本法令のテキストは全部読めませんでした。
この本は、実務には大変いい本です。集中して読める人にはいいかもしれません。
試験問題の解き方
試験問題は一番目から解いてもいいですが、得意なものから手がけるほうがいいと思います。そのほうがノリが良くなります。
また、必ず難問を混ぜてきますので、気にせず、わからないものは とばしましょう
択一式の問題を作るときは、必ず あやふやな選択肢を入れますので、自分の答えに確信がなくても気にせず進みましょう。
そのときは、「おおよそ、正しいと思う」ものは○、「正しいと思うがちょっと怪しい」ものは〇×、「正しいかどうかわからないもの」は△、というように記号をつけて読み進み、あとで比較して機械的に解答していきます。
「絶対に確信ある正解」というのはあまり ありませんから、気にせずどんどん進みましょう。(他のみんなも同じですから) 例題
選択式の問題(穴埋め式)は まず、下の選択肢を見ないで自分が思いついた答えをメモしておいて、そのあとで選択肢を見ていったほうがスムーズにできます。
ここまで、参考になりましたでしょうか。また続きます。
平成13年
労働基準法及び労働安全衛生法
〔問 1〕 労働基準法の総則等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
A 暴行,脅迫,監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって労働者の 意思に反して労働を強制することを禁じる労働基準法第5条の規定 の適用については,同条の義務主体が「使用者」とされていることから,当然に,労働 を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提となるが,その 場合の労働関係は必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものでは なく,当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りる。
B 中間搾取の禁止を規定する労働基準法第6条における「業として利益を得る」とは, 営利を月的として,同種の行為を反覆継続することをいう。したがって,1回の行為であ っても,反覆継続して利益を得る意思があれば充分であり,それが主業としてなされる場 合と副業としてなされる場合とを問わない。
C 労働基準法でいう「労働者」とは,職業の種類を問わず事業又は事務所に使用される 者で賃金を支払われる者をいい,株式会社の取締役である者は労働者に該当することはな い。
D 労働基準法は,家事使用人については適用されないが,個人の家庭における家事を事 業として請け負う者に雇われてその指揮命令の下に当該家事を行う者は,家事使用人に該 当しない。
E 労働基準法では,労働者及び使用者は,労働協約,就業規則及び労働契約を遵守しな ければならないと規定されているが,この規定違反には罰則は設けられていない。
この問題について見てみましょう。
Aの選択肢では、禁止される強制労働が、労働関係が形式的なものに限るかどうかが聞かれています。例えば請負関係と称していれば、暴行脅迫等による強制労働が許される、というのはおかしいと思いますから、一応○とします。
Bは中間搾取が「業として」行われる場合に制限されていることについて、反復継続する意思で行えば1回でもだめなのか、副業でもだめなのか、ということですが、
例えば「中間搾取業」をはじめようとして、「開店」初日につかまったときでもやっぱりだめなんだろうな、と思いますし、例えば社労士が本業の他に「中間搾取業」をはじめたとしても、「副業だから」という言い訳が通用するとも思えないな。ということでこれも○かな。
Cの選択肢は株式会社の取締役は原則として従業員ではないのはわかるが、例外はあるかな。
ということで、実務では、従業員を兼務する役員は頻繁に登場してきますので、すぐこれは間違いだな、とピンときます。
(会社の従業員の名前だけ借りて役員登記し、実質は従業員として残業手当も払ったり、取締役の業務は行わず役員報酬もない、などのケースがたまたまあります。)
ただ、実務をやっていないと、ちょっとわからないけど例外がありそうだな。ということで、その場合は△としておきます。
Dは家事使用人は労働者ではない、という原則の例外ですが、ハウスクリーニングや家政婦派遣をしている事業所に勤務している人は労働者じゃないだろうか。ということで○。
Eは罰則についてですが、知らない場合、使用者だけでなく「労働者」が処罰されるだろうか、という疑問が生じるのと、確か 労基法の最初にある条文で罰則規定がないのがいくつかあったなと思い浮かべば、確信がないけれど正しいかな、ということで○×と付けます。
全部印を付けたところで、この問題は間違いを聞いているな、と問題文を読んで確認して、
Cは△、Eは○×その他は○ということで、CとEの二つに絞ります。
もう一度問題文を読んで、付けた印に変更がなければ比較的間違いに近いCを選択します。
このように確信がなくても次々進みます。そして解答したものは、「正解」だということにしておきます。読み返した場合もよっぽどの根拠がなければ直さないようにしてください。
確信がないと最後に直したくなりますが、ほとんど間違ってしまいます。
また、何回読んでも良くわからない問題は多くあります。全問正解を出す必要がないのですからあまり引きずられてはいけません。
私のやり方に間違いはない。・・・と思い込んであっさりやるのが試験のテクニックです。
この問題のテーマにある、労働者性は実務では問題になることが多いので詳しく勉強しておくべきです。
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