(時間外手当)
Q1.就業時間が午前8時から午後5時までの会社で、1時間遅刻して 1時間残業したら割増賃金を支払うことになりますか? 

A. 残業手当について就業規則にどのように記載しているか、がポイント。
「午前8時から午後5時までを所定労働時間とする。所定労働時間を越えたら割増賃金を支払う」と規定していると、1時間遅刻しても午後5時から1時間残業すれば、(実働8時間以内でも) 割増賃金を払うことになります。
ところが、「1日8時間の法定労働時間を越えたら割増賃金を支払う」としていれば、1日実働8時間を越えなければ割増は必要ないということになります。
 
(時間外手当)
Q2. 労働基準監督署の立入調査があった場合に、「残業手当が支払われていない」という指摘に対して、「基本給に残業手当相当分を組み込んで基本給の金額を設定している」という主張をした場合、それで納得してもらえるでしょうか。

A.原則ダメ。ただし、就業規則に規定があれば主張が通ります。すなわち、
就業規則に以下の規定があれば、この主張は通ります。
@基本給とは区別して「定額残業手当」(名称はなんでもいいですが)を規定すること。
A実際の残業時間が「定額残業手当」を超えたら差額を支払う旨 規定すること。

(時間外手当)
Q3.「営業マンだから時間外手当を支給しない」というのは法的に許されるでしょうか。営業手当の支払いがある場合は、どうでしょうか。

A.当然許されません。最近は、営業マンも携帯電話等で時間管理が可能だから、勤務時間を把握するように労働基準監督署から指摘されています。
ただし、Q2のように、就業規則に@「営業手当」を「残業手当に充当」する。A実際の残業時間が「営業手当」を超えたら差額を支払う旨の規定があれば、営業マンの実際の残業時間が「営業手当」を超えない限り、別に残業手当を支払うことはありません。

(賃金関係)
Q4.「完全月給制」で、欠勤しても給料をカットしないという企業で、ある社員が何日も無断欠勤をした場合、給料をカットすることはできますか。
A.就業規則に、「理由を問わず、欠勤しても給料を全額支払う」としていれば、無断欠勤でも支払う義務が生じます。無断欠勤は、極端ですが、何かと用事を作って休みがちな社員に対しても、給料は全額支払うことになります。
※実際にあった事例です。入社したての社員が、特に理由がなく何度も欠勤するので 賃金をカットしたら、「就業規則違反だ」として労働組合を結成(全国一般労働組合に加入)、すぐに労組の幹部7.8名が団体交渉を要求し、会社に乗り込んできました。そのやり取りの最中 担当の専務が心労で入院してしまうなど、大騒ぎになったことがあります。

(懲戒処分)
Q5.社員の企業に対する報告義務違反があって、そのことにより企業が損害を被ったという場合、企業はその社員に懲戒処分を科すことができるでしょうか。就業規則に規定がない場合はどうでしょうか。  

A.就業規則に規定がなければ、懲戒処分は科せません。ただし、懲戒解雇の場合 実務では就業規則がなくても懲戒解雇処分を認めています。(労働基準監督署では、規定がなくても「解雇予告除外認定」しています) もっとも、裁判で争われると、不利なことは間違いありません。

(退職金)
Q6.退職金の規定を設けないと法律に違反するでしょうか。

A.制度がなくても違反しません。

(退職金)
Q7.退職金規定があったとして、景気が悪いことを理由に、企業側が勝手に廃止や変更ができるでしょうか。 

A.勝手に廃止変更しても、同意がない「不利益変更」は、原則として無効となります。

(退職金)
Q8.退職金を支払った後に不正が発覚した場合、退職金の返還を求めることができますか。

A就業規則に規定があれば、返還を求められますが、規定がなければできません。

(退職金)
Q9.そもそも、退職金支払い前に不正があった場合に退職金の返還を求めることができますか。

A.就業規則に規定がなければ、返還を求められません。

※ このほかにも、就業規則に記載がある、なしで 結果が全く違ってくる場合が 多くあります。
裁判でも「就業規則の記載をみると・・・・」など 就業規則を大変重要視しています。
いまいちど、就業規則をチェックしてみてはいかがでしょうか。


松山社会保険労務士事務所























就業規則 Q&A
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