試用期間中のパート・タイマーを即時解雇した
              ・・・・という場合

試用期間三ヶ月でパート・タイマーを採用しました。
ところが仕事がさっぱりできないだけでなく、遅刻早退、おまけに店の車を壊して修理代がかかってしまい、もう我慢できずに「明日からこなくていいよ」と言ったら、給料の他に1月分の解雇予告手当を請求してきた。
・ ・・・よく聞くお話です。


@まず、
解雇そのものは簡単にできない、ということに注意してください。
 事例に沿って言うと、解雇は事業主が一方的に雇用関係を打ち切る場合なので、「
従業員がどんなに努力しても客観的に雇用関係の継続がむずかしい」ということ、「事業主側がどれだけ雇用継続のために努力したか・・・キチンと仕事を教えたか」ということが問われます。従って 解雇はきわめて限定的な場合にしか認められません。

これは、
試用期間中であってもそれほど変わりありません。「客観的に見てあらかじめ示した本採用の基準に、おおよそ達しない」「会社側もキチンと教えることは教えた」というようなときだけ採用拒否できます。(すなわち、本採用拒否に合理的な理由がある場合に限る)

A解雇する場合、原則として
30日前に予告するか、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支払う必要があります。(労働基準法)

試用期間中の場合は、入社後14日以内は予告の必要がありませんが、14日を超えた場合は解雇予告の規定の適用があります。

平均賃金は,直前の賃金締切日から遡って3か月の賃金総額を暦日で割ったものです。

B車の修理代の請求はできますが、車の運転などリスクのある仕事につかせて、事故を起こしたからといって(故意による場合などを除いて)
従業員に全額損害を負担させるのは、信義則上許されない、というのが判例の立場です(最判昭51・7・8)。具体的に請求できるのは修理代のせいぜい半額です。

ここで、アドバイス!!
「よっぽどの場合でなければ、安易に解雇すると言わない」ことです。話し合いで決着させてください。
解雇しなければ、原則として解雇理由の問題や予告手当の問題は起きません。
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