社員が転んでケガをしたのですが、健康保険証を使って治療を受けてもいいですか。

1、仕事が原因でケガをした場合は、労災保険。
2、通勤途中にいつものルートでケガをした場合は労災保険。
3、休日に自宅でケガをした場合など、仕事と関係のないときは健康保険。

仕事場で、カッターナイフでケガをしたが、簡単なケガなので、面倒だと思い、
健康保険証を使ったのですが、まずかったでしょうか。


どんな小さなケガでも、仕事中のケガは健康保険証を使えません。社会保険事務所が後で事実関係の確認をしますので、発覚するとかかった保険給付を全額返還しなければならなくなります。
もっとも、その場合は、返還後に労働基準監督署にその分の請求ができますが、
書類に医師の証明をもらったり、ひとまず現金で清算しなければならないので手間がかかります。



アルバイトがはじめて出社した日にケガをしましたが、労災保険が使えますか?

アルバイトでも労働者として勤務していれば、仕事が原因のケガは労災保険が使えます。
出勤簿をきちんとつけてください。また、労働者名簿及び雇入通知書か雇用契約書を用意していればスムーズに手続が進みます。



社長は雇用保険に入れないのでしょうか?

社長など、経営者は雇用保険には入れません。
社長の奥さんなど、同居の親族も入れない扱いになっています。
ただし、法人の役員でも、従業員が名前だけ役員登記されている場合など、名目上の役員は手続をして雇用保険に入ることができます。



社長は労災保険に入れないのでしょうか?

社長など、経営者は原則として労災保険の適用はありません。
ただし、労働保険事務組合に事務委託していれば、労災保険の特別加入制度によって労災保険に加入できます。もっとも、加入手続きをした翌日からでないと適用がありませんので、ケガをしたからといって遡ることはできません。




社員が入社した場合の会社の手続としてどういうものがありますか。

社会保険事務所の関係としては、健康保険・厚生年金保険の資格取得手続、
公共職業安定所の関係では雇用保険の資格取得手続があります。

前に、ある会社で「担当者」が、厚生年金の手続をすると「失業保険」がもらえるものと思い込んでいて、従業員の半分以上雇用保険の資格取得手続をしていなかったケースがありました。
雇用保険の資格取得手続は2年間しか遡及できないため、入社10年経った社員も8年分の被保険者資格がつけられなくて困ったことがありました。

この場合は、退職した場合の本人の不利益は、会社及び担当者の損害賠償によって補てんする以外に方法がありません。



奥さんが健康保険の扶養に入っているときは、年金も扶養に入っているんですよね?

年金に「扶養」という考え方はありません。ご主人が厚生年金に入っていて、奥さんが健康保険の被扶養者になっている場合は、奥さんの年金は「国民年金」です。そして、奥さんは国民年金の3号被保険者になっているのです。
問題なのは、健康保険の被扶養者の手続をしていれば、年金の3号被保険者の手続も済んでいるものと誤解しているケースが多いことです。国民年金の3号被保険者の手続は市役所・区役所などの役場でやります。(平成14年4月からは社会保険事務所でやります)
この手続をやっていないと、奥さんの年金がもらえないことがあります。心配な人は役場か社会保険事務所の年金相談係へ行って調べてください。



奥さんの収入が103万円を超えた場合は、税金も健康保険も扶養にならないんですか?

税法上の「扶養家族」の収入は103万円が基準ですが、健康保険の被扶養者は130万円未満ならなることができます。(60歳以上の人や、障害のある人を扶養に入れるには180万円未満まで可能です)
したがって、奥さんの収入が125万円であれば、税法上の扶養家族にはなりませんが、健康保険の扶養家族になることが可能です。(ただし、夫の収入が妻の2倍以上であること)



パートタイマーが「自分は夫の扶養になっていて健康保険も厚生年金もいらない」と言っていますが、そのようにしていいでしょうか。

健康保険や厚生年金保険に加入するかどうかは、法律上の基準で決まります。「必要がないから入らない」ということはできません。雇用保険も同じです。
必要な人だけ入る、という民間の生命保険のようなものであれば、保険料をぐっと上げるか、保険給付の内容をかなり悪くしないとやっていけません。
現在でも年金や健康保険は破綻寸前だといっていますが、もし、国がこれらの制度を止めてしまうと、金持ちだけが病院に行ってそうでない人は我慢して苦しむ、という状態になるのではないでしょうか。



月給者については、病気で休んでも給料をカットできないんでしょうか?

給料の計算・支払いの方法は就業規則や個々の雇用契約の内容で決定されます。
正社員などを「月給者」として、休んでも欠勤控除しないようなやり方は多くの会社で見られます。
しかし、年次有給休暇の範囲内では給料のカットをしないがそれを超えた場合はカットする、という扱いも可能ですからきちんと就業規則等で決めてください。
法律上は「月給者」だからといって給料をカットできない、ということはありません。



退職金は支払わないといけないでしょうか。

企業は、法律上退職金制度を義務付けられてはいません。実際、退職金制度のない企業はかなりあります。
しかし、一旦退職金制度を設けた場合は、勝手に制度を廃止したり退職金額を減額できません。
その場合は、全従業員の合意がないと原則として無効になります。
退職金制度がある以上、法律上は賃金と同じ扱いになりますから、退職金を支払わないと賃金不払いと同じに罰則規定の適用もあり得ます。





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